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夜間や明け方の冷え込む時期、夜間や明け方の喉の痛み、咳、痰絡みは、夜間口呼吸が原因?!

2021年10月19日

かなりブログ更新をお休みしていてすいませんでした。できるだけ有意義な情報や当院の治療方針など記載していきたいと思います。

10月下旬に入ってから、夜、早朝の空気の冷え込みを感じるようになりました。
そのような時、半年ぶりに押入れ、タンスから、厚手の布団や洋服を出してきて使用します。

ホコリでくしゃみ、鼻汁がでる方は、急にホコリにまみれる状態になるため、特に夜間就寝中に鼻詰まりが強くなり、口開けて寝るようになります。
朝起きたときは、のどがカラカラに乾いてのどの痛み(特に上あごの奥)が出現しやすいです。

のどイラストの黄色部分が痛みが出やすい

 

 

 

この時期に、咳、痰絡みの症状がでるのは、実はのどが原因より夜間の口呼吸で、のどが乾燥すること、イラストの黄色部分が炎症おこしやすいため、その奥の鼻の一番奥(上咽頭)などに炎症おこしやすくなり、そこから炎症成分やアレルギー成分を含む後鼻漏(鼻汁がのどに垂れてくる)がのどに降りてくることが原因で、のどがイガイガして咳が出る可能性があります。

衣替えの時期の治りにくい咳、痰絡みは、上記のことは耳鼻咽喉科医でも、意識されていない場合もありますが、気になるならお近くの耳鼻咽喉科医に相談してみてください。

鼻がくさい原因、治療は?

2020年12月29日

今年は、コロナではじまり、コロナで終わると大変な1年でしたが、無事に1年を締めくくれることを感謝します。

今回は、鼻がくさい原因は?について、述べていきたいと思います。

鼻がくさいと訴えて受診される患者さまがいます。大人と子供で考えるものが違います。

子供の場合、鼻腔異物であることが多いです。ティッシュやおもちゃなど鼻の穴に入れてしまって、取れなくなったけど、罪悪感のためか親に言うことができずにいると、異物が鼻に入っているので感染して腐敗臭を放ちます。それで、親が耳鼻科に連れてきて、鼻腔異物が見つかることが多いです。異物を摘出することでほとんど治ります。

大人で多い原因が、以下の2つ考えられます。
1)歯性上顎洞炎:歯の根っこに膿の袋があり、ここから膿が上顎洞(副鼻腔の一つ)が波及する。ほとんどが片側です。
通常副鼻腔CTを施行して、上顎洞陰影と歯根部の膿の袋と交通していることを確認して診断します。一般的に、歯科では上顎洞炎を起こすような上の歯は抜歯が原則のようですが、抜歯し
たらそれまで食事で使用している歯であれば、その後の食事に支障をきたします。そのため、特に歯の痛み、歯がぐらつくなどの症状がない場合は、耳鼻科的に加療(抗生剤の投薬に加え
て、外科的処置の併用が必要なことが多いですが)で治癒に導くことで、原因となった歯の温存を考えます。

 

 

 

 

 

 

 

2)鼻前庭炎:鼻毛付近に、かさぶた(鼻くその硬いもの)がよくつく。片側のことも両方のこともあります。耳鼻科受診時に、鼻の入り口をきれいにして受診されていることもあるため、普段鼻の入り口にかさぶたなどつかないか確認します。疑われる場合は、軟膏を塗布すると7日ほどでよくなります。

耳あかについて

2020年10月8日

よく耳垢(みみあか)で定期的に通院が必要ですか?と聞かれることがあります。
耳鼻科医でも、耳垢についてしっかりした知識をもっていないことが多いので、自分の勉強も兼ねて色々調べてみました。

耳垢には、乾燥した耳垢、ジクジクした耳垢があるのはご存知かもしれません。以前のブログで、夏に多い耳鼻咽喉科の疾患:外耳炎についてで記載しましたが、外耳の構造は、入り口は、柔らかく毛(耳毛)が生えており、この部分に向かって、鼓膜の中心から上皮が、鼓膜の外側に移動し、さらに外耳道の外側に爪がのびるスピードで移動します。そして耳毛の生えている部位で上皮が剥がれ、汗(耳垢腺からの分泌物)などの水分と混ざり、耳垢になります。耳垢腺は、汗腺の一種「アポクリン腺」と組織的に同じ物で、アポクリン腺が多いと、ジクジクした耳垢になります。また、耳垢は殺菌作用、虫よけ作用もあると言われています。


2017年アメリカ耳鼻咽喉科学会・頭頚部外科学会(AAO-HNS)から、耳垢に対するガイドラインが出ています。
医師から患者に啓発すべき耳垢閉塞に関する「やるべきこと」「やってはいけないこと」を提示しています。
1)過剰な耳掃除はしない。過剰な耳掃除は外耳道の炎症や感染の原因となり、耳垢塞栓率が高まる綿棒、ヘアピン、つまようじなどは耳を傷つけることがある。これにより外耳道裂傷、鼓膜の穿孔、耳小骨変位が生じて聴力低下、目まい、耳鳴りなどを招く恐れがある
2)イヤーキャンドルを使用しない。耳垢塞栓を除去するというエビデンス(証拠)はない
3)自宅でできる耳垢塞栓の改善法は医師に相談する。耳垢を除去する方法の中には、ある種の疾患があると安全に行えないものがある
4)耳痛、耳漏、または耳からの出血は医師の診察を受ける。これらは耳垢塞栓の症状ではなく詳しい検査を必要とする

また、日本耳鼻咽喉科学会静岡県地方部会から、耳のそうじは本当に必要なの?と言うyou tube動画が出ています。
これは、1例のみの提示となっており、色々意見があるかと思いますが、ここまでわかりやすく耳垢について説明しているは少ないので参考にしていただくとよいかと思います。

滲出性中耳炎について おとな編 見逃してはいけない上咽頭癌

2020年9月14日

大人の方にも、滲出性中耳炎がありますが、子供ほど多くはありません。

【原因】大人の滲出性中耳炎特に片側のみの場合、見逃してはいけない病気が、上咽頭癌です。上咽頭とは、鼻の奥の突き当りの壁で、口蓋垂(俗にのどちんこ)の裏側上の部位です。耳鼻咽喉科診察で、鼻鏡で鼻の入り口を広げて光を入れてみても、上咽頭まではまず見えません。口の中をみても、口蓋垂の裏側上方なので見えません。上咽頭に異常がないか、ファイバースコープで見に行かないと上咽頭癌がないかはわかりません。上咽頭癌によって、鼻から耳につながる耳管の狭窄がおきて、結果として滲出性中耳炎になるのです。その他には、子供と同様、副鼻腔炎、など考えます。その他の原因として、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症などで、鼻が詰まりやすい、鼻すすりのくせがあるなどがあります。

【症状】子供でも大人でも、滲出性中耳炎の症状は、聞こえにくい、耳閉感です。

【検査】滲出性中耳炎の原因が大人の場合、癌などの腫瘍が原因のことがあるため、上咽頭をチェックするために鼻からファイバースコープを挿入して腫瘍の有無を確認します。
また、上咽頭癌などでは、頸部上方のリンパ節の腫れがあることが多いため、頸部の触診をして、リンパ節の腫れがないかチェックします。
滲出性中耳炎が治れば、子供の場合はほとんど聴力は正常になりますが、大人の場合は元々難聴があることが多いので、聴力検査などをします。

【治療】原因となる疾患があれば、その疾患の治療をしていきます。それでも、改善しない場合は鼓膜切開をしますが、何度も切開が必要な場合は、鼓膜換気チューブ挿入する必要があります。経過が長い滲出性中耳炎で、55歳以上の患者様はチューブ挿入しないと改善しない傾向があります。また、原因がわかっても、手術しないと改善しない副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻中隔弯曲症があることも多く、その場合はそれらの手術加療をします。

滲出性中耳炎について こども編

2020年9月1日

子供さんが耳鼻咽喉科に通院している原因の一つに、滲出性中耳炎があります。週に数回、耳鼻咽喉科へ鼻処置と通気治療に通っていることが多いと思います。
子供の滲出性中耳炎について重要なことは、ほとんど治るということです。ただ、難聴があると言葉の覚えが遅くなる、まれに慢性中耳炎や癒着性中耳炎、真珠腫性中耳炎になることがあります。慢性化させないこと、聞こえに支障がないようにすることを主眼においた治療が大事です。

原因としては、急性中耳炎が、治療の中断などで完全に治りきらなかったためです。副鼻腔炎(ちくのう)・アレルギー性鼻炎・アデノイド肥大・鼻ススリなどで耳管(鼻と耳のとおり道)が詰まったためです。

症状は、耳の聞こえが悪くなる。耳がふさがった感じがする。発熱や痛みはなく、耳だれもありません。

 

治療は、原因となる、副鼻腔炎(ちくのう)、アレルギー性鼻炎、アデノイド肥大、鼻ススリが無いかチェックします。あれば、原因に対する治療を行います。
それでも治らない場合は、鼓膜切開をしますが、切開してもすぐ再発する場合は鼓膜換気チューブの挿入を検討します(鼓膜切開は外来でできますが、鼓膜換気チューブの挿入は安静が保てない場合は、全身麻酔下での治療できる病院へ紹介させていただくことがあります)。

治るのまでにどのくらいかかる?
早くても2週間以上かかります。数ヶ月かかることもありますし、再発することも多いです。
2~10ヶ月の間で治ったり、再発したりするので注意が必要です。

なぜ子供がなりやすいか?特に未就学児
未就学児は免疫力の発達段階で、集団保育で色々なウイルス、細菌に暴露されやすいです。そのため風邪を引くことが多くなり、耳管(鼻と耳のとおり道)の鼻側に細菌が増えやすくなります。集団保育児では、この細菌が抗生物質に効きにくい状態のことが多く、常に耳管が炎症にさらされやすいため、滲出性中耳炎が長引きやすいです。また、鼻を上手にかめない、アデノイドが4歳頃から大きくなることも原因となります。最近はアレルギー性鼻炎の子供さんが増えており、この患者さんが風邪ひくと簡単に副鼻腔炎(ちくのう)になりやすく滲出性中耳炎が治りにくい要因となります。

当院での滲出性中耳炎の治療について
まず、鼻所見、のどの所見をみて滲出性中耳炎の原因をチェックします。場合により、鼻の奥の細菌の検査をして抗生物質に効きにくい細菌がいないかチェックします。必要ならアデノイドが大きくないかチェックします。
滲出性中耳炎の9割以上は、自然に治るとも言われており、特に鼻所見、のどの所見ない場合は、投薬なしで1ヶ月ほど経過をみます。
改善がない場合は、再度原因精査をして、投薬治療を開始します。ほとんどの場合は、1ヶ月ほどで良くなりますが、原因が改善されなかれば、滲出性中耳炎も治癒しません。
今まで耳鼻咽喉科では、滲出性中耳炎に対して通気治療をしていましたが、原因(耳管の炎症)の治療ではないので、一時的によくなってもすぐ再燃し治療も長引くことが多いと考えます。
そのため、当院では通気治療は必要であれば行いますが、滲出性中耳炎の治療に通気治療をメインとすることはしません。あくまで、原因治療を優先し、結果として滲出性中耳炎がよくなるということをしていきます。

 

鼓膜について。鼓膜に穴があいていると言われている方へ。

2020年8月28日

時々、鼓膜に穴があいているので、よく耳漏が出ると言われる患者さまがいらっしゃいます。
経過が長いため、鼓膜に穴があいているのは治らないと思われている患者さまが多くいます。

鼓膜は、耳の穴の入り口からおよそ3cm奥に、8×10mmの楕円形の膜で厚さは0.1mmです。空気中の振動を効率よく、鼓膜の振動に変換しています。
中耳炎などで、膿や浸出液が鼓膜の中に存在したり、鼓膜に穴があいていると鼓膜の振動が悪くなるため、主に低い音が聞き取りにくくなります。

鼓膜は1枚の膜で成り立っているのではなく、3枚の層(上皮層、固有層、粘膜層)から成っています。鼓膜の中心から外側に向かって再生します。
外傷で鼓膜に穴が開いても、1ヶ月もするとほとんどの例で鼓膜の穴は閉鎖します。

しかし、中耳炎の程度が強くて、鼓膜に自然に穴が開いたのちも耳漏がなかなか止まらない場合は、鼓膜の穴がそのまま治らないことがあります。遷 延 化 しているうちに穿 孔 縁 が上 皮 化 してしまい閉 鎖 しようとする修復 力 が低 下 して しまう事 が原 因 と考 えられます。

こうしてその耳は慢性中耳炎の状態となり、難聴、時々耳漏などの症状が出現します。耳鼻科に受診して、点耳液をもらい使用すると耳漏は良くなりますが、鼓膜の穴はあるので、聞こえの改善はありません。穴が開いているため、鼓膜の中が炎症起こしやすく、その後も耳漏を繰り返します。経過が長いと、内耳にある聞こえの神経そのものの機能が低下します。

治療は、鼓膜の穴を閉鎖することです。ただ、鼓膜の穴を閉鎖して聴力の改善がないなら、鼓膜の穴以外に聴力低下の原因(鼓膜の振動を奥に伝える耳小骨の動きが固くなっている)があるので、外来で鼓膜の穴を薄い綿で塞いで聴力改善の有無を確認します。

当院での、鼓膜の穴を塞ぐ手術(鼓膜形成術)については、日帰り手術のページの鼓膜形成術の項目を参考にしてください。

夏に多い耳鼻咽喉科の疾患:外耳炎について

2020年7月3日

夏になると、耳が痒い、耳が痛い、耳漏が出てくるなどの症状で受診される患者さんが多くなります。これは外耳炎が原因です。

外耳炎とは、耳掃除をする外耳という鼓膜より外側の部分に炎症を起こした状態を言います。

原因は、耳の穴からばい菌が入ることはほとんどないため、耳掃除などで人為的に外耳を傷つけてしまうことがほとんどです。
まれに、虫がはいって外耳を傷つけてしまうことがありますが…

外耳の構造は、入り口は、柔らかく毛(耳毛)が生えており、耳毛の根からは皮脂腺がありここからの分泌物は、汗(耳垢腺からの分泌物)などの水分と混ざり、皮膚表面の保護作用、殺菌作用を持ちます。

この外耳に炎症が起きることが外耳炎です。外耳炎のほとんどが、耳そうじで外耳を傷つけて炎症を起こしてしまうことが原因です。
特に夏のような高温多湿環境下では、外耳道内は、さらに高温多湿環境になり細菌が繁殖しやすいため、一旦傷つくとそこで細菌が繁殖して痛み、耳漏、かゆみなどの症状が出現します。

耳掃除は、通常、外耳道入口部にしかない耳垢をとればよいのですが、盲目的に掃除することで、耳垢を奥に押し込んでしまう、外耳道を傷つけてしまうことがあります。一旦傷つくと、汗や風呂上がりの水などで、耳が痒い、つっぱった感じがおき、再度耳掃除して外耳を傷つけるといった、悪循環に陥ります。

耳が痒い、痛い、ついつい耳を掃除してしまう時は、一度外耳炎になっていないか、専門の耳鼻咽喉科で診察・治療をおすすめします。

5月からの花粉症:イネ科

2020年5月26日

だんだん暑くなり、雑草も多くなってきています。コロナウイルス感染症も、現在新規患者数も徐々に減ってきているようです。早く通常の状態に戻ってくれればと思います。
今回コロナ感染症のことで、いつも当たり前と思っていた日常が実は感謝すべきことだったことを痛感しています。
常日頃の健康も、当たり前と思って日常を過ごしていると、いざという時に体調崩して、そのまま大病になることもありますので、普段からの意識して生活していきたいです。

今回は花粉症のなかでも、ゴールデンウィーク後から飛散しはじめるカモガヤ花粉症についてわかる範囲で書いていきたいと思います。飛散時期は5月~梅雨の時期までが多く飛散します。

今の時期、田園風景が広がる安城市周辺では、左写真のような雑草が至る所で生えているのを目にします。カモガヤはイネ科の植物で、カモガヤ花粉の大きさは、スギ花粉とほぼ同じ20~40μm 1) です。しかし、飛散距離はスギ花粉では、数10~200kmなのに対して、カモガヤ花粉は、数10~200mと短いのが特徴です。そのため、カモヤガが生息している場所から離れるとで予防できます。カモガヤはヨーロッパから明治以后に牧草として輸入され、栄養価の高い牧草でしたが逸脱して野草化しました。繁殖力強く排気ガス、大気汚染に頑強に耐えて、在来種を圧迫しています。

カモガヤ花粉症の症状は、くしゃみ、鼻汁、鼻閉、目の痒みなど、スギ花粉症と同様の症状です。印象としては、症状がでるとスギ花粉症より強くなる印象です。

口腔アレルギー症候群と言って、カモガヤ花粉症の患者さまは、メロンやスイカなどを食べることで、口腔内が痒くなったり、喉がイガイガしたりすることがあります。これらの果物が、カモガヤ花粉と共通の蛋白抗原を有していることにより、口腔や咽喉頭などの粘膜にメロンやスイカが接することで、局所アレルギー反応を起こすためと考えられています。

治療は、スギ花粉症と同じく、抗アレルギー薬、ステロイド鼻用噴霧薬などです。目の痒みを伴うことも多く、抗アレルギー点眼液を処方することが多いです。

5月の連休明け頃から、日当たりの良いアスファルトやコンクリートの壁などに、小さな赤いムシがたくさんチョロチョロ動き回っているのをご覧になったことはありませんか?
これはタカラダニで、若葉新緑の季節に突然、しかも大量に発生します。場合によっては室内に入り込んだり、洗濯物についたりするので、迷惑がられています。花粉を食べていることは確実なようで、カモガヤ花粉などが、アスファルトなどの多孔質の材質にたまり、タカラダニの餌が増えると、タカラダニが多くなります。もしタカラダニが周りに今の時期に多くいたら、カモガヤ花粉が多く飛散している可能性があります。

花粉を食べるタカラダニ

 

 

 

 

鼻呼吸の重要性その2 空気の通り道の気道としての機能

2020年4月27日

鼻の機能には、以下の大きく4つの機能があります。
1.空気調節機能(①空気の通り道の気道としての機能、②加温・加湿機能)
2.ろ過機能
3.嗅覚機能

今回は、1の①空気の通り道の気道としての機能について説明していきます。
鼻腔に入る空気は、成人男性で1日に10000~15000リットル=15kgと言われています。通常食物では1日あたり1.5kgなので、10倍もの多量の空気が鼻を通っています。
鼻の中の空気の通り道は、左右に分ける仕切りと外側から張り出した粘膜の狭い隙間です。そのため、口呼吸より、鼻呼吸の方が1.5倍のエネルギーを要します。このことは、鼻での呼気時の方が、口呼吸での呼気時より肺の虚脱が起きにくくなり、肺での酸素の取り込みに有利に働きます。

下に、鼻での気流の流れを示しました。図1では、鼻に吸気で周囲から入ってくる空気は、鼻入口部から60°の角度で流入します。
図2,3で、白い楕円部位は、嗅覚を感じる場所です。
吸気は、鼻の上部で複雑な動きをしており、嗅覚、加温・加湿に有利に働くことが示唆されます。
呼気は、線形な空気の流れが多く鼻腔の下の方が流量が多いです。白い楕円の嗅覚を感じる部位の流量は少ないです。そのため、呼気時には、においをほとんど感じません。

図1
鼻に入るとほぼ全ての気流が60°の角度で流入

図2
吸気時◯の部分の嗅覚感じる場所の、空気が届くような流れ

図3
呼気時は鼻の下部を主に空気が通る。◯の嗅覚感じる部位の流量は少ない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図1の参考文献:Respiratory defense mechanism. Part1. New York:Marcel Dekker,1997 Swift DL.

図2,3の参考文献:医療用画像をもとにした鼻腔内流れの解析に関する研究 2003年 北陸先端科学技術大学院大学 中山敏男 https://core.ac.uk/download/pdf/58958318.pdf

隠れ鼻づまり

2020年3月17日

皆さんは隠れ鼻づまりという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
隠れ鼻づまりとは、日中起きているときは、鼻づまりがなく、夜寝ているときだけ鼻づまりになってしまうことです。
当然、本人は寝ているときの鼻づまりを自覚することはありません。しかし、睡眠時無呼吸症候群と同様に、この隠れ鼻づまりは、他人に指摘されないと気づきにくい点があります。

特徴
1)朝起きたとき、のどが渇いている
2)睡眠の質が悪い
3)よくのどを痛める
4)いびきを指摘される

などの症状があれば要注意です。

鼻の中は、血管が豊富な粘膜が入り組んでおり、鼻に入った微粒子、細菌、ウイルスなどを捕捉しやすくしたり、冷たい乾燥した空気を暖め加湿しやすいような構造になっています。
その効率をよくするために、鼻粘膜には自律神経が張り巡らされており、鼻粘膜の腫れなどには自律神経の影響を強く受けます。

日中は、交感神経優位のため、鼻粘膜は収縮していますが、夜間などは副交感神経優位のため、鼻粘膜は腫脹しています。特に夜間就寝中や明け方は鼻粘膜の腫脹は強くなります。
アレルギー性鼻炎や風邪で鼻粘膜に炎症があると、鼻粘膜の自律神経の反応が過剰になりやすく、より夜間の鼻閉になります。
特に、下の写真のように、鼻の構造に歪みがあると、夜間の鼻閉は強くなります。

自覚しにくい隠れ鼻づまりを、意識して自覚し、事前に治療することにより
1)睡眠の質がよくなる
2)のどを痛めることが少なくなる
3)熟睡しやすいので、自律神経が整いやすい

などの恩恵も考えられます。

朝起きたときのどが乾いている、睡眠の質が悪い、よくのどを痛める、いびきを指摘される などの症状がある場合は、実は隠れ鼻づまりが原因のことがあるので、是非ご相談ください。

正常鼻腔 日中

正常鼻腔 夜間

真ん中が、左へ強く弯曲 日中

真ん中が、左へ強く弯曲 夜間

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