当院で日帰り手術可能な症例
鼓膜切開術
鼓膜を切開して、内容液を排出させる手術です。
急性中耳炎で耳が痛い。膿がずっと溜まっている、熱が下がらない等の時に、決定的な治療になることがあります。
滲出液がたまる滲出性中耳炎に対しても行い排液することもあります。
麻酔の時間は必要ですが、切開自体はすぐ終わる手術です。
鼓膜チューブ挿入(留置)術
切開した鼓膜が閉鎖しないようにシリコンのチューブを留置する手術です。
主に滲出性中耳炎が治らない時等におこないます。
大人であれば麻酔した後、手術自体は1分もかかりません。
小さいお子さんは体動が激しいことが多く、外来では困難なケースが多いですが、動かないお子さんであれば、外来で可能なこともあります。
鼓膜形成術
鼓膜に穴があいている「慢性中耳炎」に対して行う手術です。
耳の穴から手術を行います。鼓膜を形成する材料は、耳の後ろから採取します。髪の毛を切る必要もなく、手術後当日から入浴も可能です。
術前に、鼓膜の穴を塞いで聞こえが改善する症例に行います。当院では、血液製剤であるフィブリン糊は使用しません。
鼓膜の穴を塞いで聞こえが改善しない症例や、真珠腫性中耳炎は、鼓膜に付いた耳小骨や、中耳内の病巣除去が必要となる鼓室形成術となるため、現時点では総合病院耳鼻咽喉科へ紹介させていただきます。
下鼻甲介粘膜焼灼術
外来診察時間内に受けていただけるアレルギーの手術です。
下鼻甲介粘膜を電気焼灼し、アレルギー反応が起きにくくする治療です。当院では、内視鏡下で行うため、肉眼では処置しにくい下鼻甲介後方も焼灼できます。花粉症を含めた、すべてのアレルギー性鼻炎が対象ですが、下鼻甲介粘膜自体が肥厚した肥厚性鼻炎も対象になります。
麻酔などの時間は必要ですが、手術手技自体は10分くらいです。
術後1週間は、くしゃみ、鼻汁、鼻閉が悪化します。その後、徐々に改善していきます。
術後、1か月ほどカサブタがついたりするため、1週間に1回ほど外来で鼻処置が必要です。
鼻中隔矯正術
鼻中隔とは、鼻の左右を隔てる仕切りです。生まれたときは、まっすぐですが、成長とともに左右どちらかに、少し曲がってきます。しかし、この曲がりが強い場合、周囲の鼻の粘膜(主に下鼻甲介)が風邪や、アレルギー性鼻炎で腫れると、鼻閉などの症状がでてきます。
鼻中隔弯曲が原因で鼻が詰まっているならば、お薬ではなおりません。
手術以外で症状を改善するのは困難です。
年中鼻が詰まっている方は一度チェックされる事をおすすめします。
手術時間は、20~30分ほどです。
粘膜下下鼻甲介骨切除術(内視鏡下鼻腔手術I型)
鼻内の下鼻甲介が慢性的に肥大している方に行う手術です。
大まかに言って2つの方法があります。
1、鼻甲介切除術:下鼻甲介の粘膜を一部切除する。
2、粘膜下下鼻甲介骨切除術:粘膜は切除せず下鼻甲介の骨だけを除去する。
症例によって術式を選択します。多くの場合鼻中隔矯正術と併用することが多いです。 手術時間は、片側15分ほどです。
後鼻神経切断術(翼突管神経切断術)
鼻腔内に走行するアレルギーの神経を切断し、アレルギー性鼻炎の症状を軽減します。レーザー治療などの手技に比べ、効果が格段に違います。
高度なテクニックを要する手技です。特にくしゃみやくしゃみに伴う鼻汁に効果があります。
下鼻甲介骨内にある神経を、後方に追いかけて、蝶口蓋孔という後鼻神経の出入り口付近で、神経を切除します。
内視鏡下鼻・副鼻腔手術(副鼻腔根治術)
蓄膿症(慢性副鼻腔炎)などに行う手術です。
内服治療しても改善しないとき、改善しても、同じ場所が繰り返し副鼻腔炎になるときに行います。
原因のほとんどが、副鼻腔の排泄路(鼻腔との空気の換気ルート)の閉鎖が改善されないことによるものなので、排泄路を大きく開放し、狭くなる原因(鼻中隔弯曲症やアレルギー性鼻炎)があれば、そちらも一緒に加療します。
手術により、副鼻腔の換気がよくなるため、副鼻腔の炎症も改善しやすく、膿が溜まりにくくなります。
手術する副鼻腔の範囲によって費用が変わります(1型~4型)。手術時間は、手術する副鼻腔の範囲で違い片側15~60分です。
当院では大変解像度のよいCTを導入しています。それにより手術の範囲を決めます。
手術術後には、止血用のタンポンを鼻腔内に詰めて帰宅します。翌日止血用タンポンは抜去しますが、それまでは完全に口呼吸になります。通常、術後1~2週間は、鼻閉、鼻汁、くしゃみが悪化しますが、その後は徐々に症状は改善していきます。術後1か月までは、鼻腔内にカサブタなどがつくため、定期的に外来で通院して副鼻腔処置が必要です。